vol.5 Guillain-Barré症候群(GBS)

 今回は、脱髄疾患の1つであるGuillain-Barré症候群(GBS)を扱う。

 

 Guillain-Barré症候群(GBS)は、免疫・炎症性ニューロパチーの代表的疾患であり、急性の運動麻痺を主徴とする多発根ニューロパチーをきたす。自己免疫反応による末梢神経の髄鞘(Schwann細胞)の障害が病因と考えられてきたが、軸索を直接障害する病型も存在することがわかってきた。多くは自然回復するが、一部重篤化することもある。小児から成人まで男女を問わず起こる。

 

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Key Word

 1~3週前の上気道炎や下痢(先行感染

 上行する左右対称性の弛緩性麻痺(脱力)、腱反射 ↓

 血液検査:抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体など)陽性

 髄液検査:蛋白 ↑ 、細胞 → (蛋白細胞解離

 神経伝導検査:運動神経伝導速度 ↓ 、伝導ブロック

 

111D13
Guillain-Barré症候群の治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。

血漿交換
b アシクロビル点滴
ステロイドパルス療法
免疫グロブリン製剤投与
e ベンジルペニシリンペニシリンG〉点滴


解答:a,d

 

105I65
50歳の男性。四肢の脱力を主訴に来院した。10日前に微熱と咽頭痛とが出現したが2日間で消失した。3日前に手先と足先のしびれ感が出現し、翌朝には両下肢の脱力、午後には両上肢の脱力が出現して、今朝は歩行が困難となった。10年前に強い頸椎症性変化を指摘された。3年前に房室ブロックのため心臓ペースメーカー植え込み術を受けた。意識は清明。四肢に中等度の脱力がみられる。腱反射は消失している。四肢遠位部の軽度の感覚低下を認める。
診断のために有用な検査はどれか。
a 頸部単純CT
b 頸椎MRI
c 針筋電図
d 神経伝導検査
e 腓腹神経生検

 

解説

 10日前に微熱と咽頭痛 →先行感染

 その後、両下肢・両上肢の脱力、腱反射は消失 ⇒診断:GBS 
解答:d

 

~Today's proverb~

 The early bird catched the worm. 「早起きは三文の徳」